バンカーの思い出(或いは失われたパトス)

f:id:kaze_no_katami:20200708134210j:plain

 一年前、新橋烏森にある小さな飲み屋が、ひっそりとその歴史に幕を閉じた。

 「バンカー」と言う名のその店は、元来、銀座のホステスだった女性が始めたもので、彼女が引退した後は息子の「マスター」がそれを継ぎ、一時期、若い女の子を雇った事もあったが、ここ数年は彼が一人で切り盛りしていた。

 私は大学を卒業後サラリーマンになり、漸く新しい生活に慣れた頃から、部署は違うが同じ事務所内の先輩二人とつるんで行動する事が多くなっていた。

 我々三人は仕事を終えると、同じビル内の居酒屋に集合。取敢えずビールとツマミで腹ごしらえをしてから、専らその「バンカー」に入り浸り、深夜まで酒ばかり飲んでいた。

 そこはカウンターとボックス席を合わせて10人程で一杯になる狭い空間で、主たる客は元ホステスの頃から「ママ」の贔屓筋だった年配男性達。彼等は8トラックのカラオケのマイクを奪い合うように、リズムと音程の不一致度を競い合っていた。

 それはさておき、そうやって飲んでばかりの我々は、会社の役員や上司達から 、ある時は「グラスの代わりにクラブを持て」と、無理やりゴルフをセットされたり、「乾き物の代わりにパイをつまめ」と半ば強制的に雀荘へ誘われたり、要は一人では遊べない老人達の喜び組として利用されていた。

 確かに酒ばかりでは体に悪い。しかし時間外や休日迄も年寄り共のお守りでは息が詰まる。そこで考えついたのがバンド結成だ。

 先輩の一人「N」は、子供の頃から正規のピアノ教育を受けており、バイエルの底辺から抜け出せない私とは違い、ソナタは完璧に終了したという。これは期待出来るかも知れない。

 もう一人の「F」は大学時代、同級生とデュオを組んでいたらしく、殆ど弾けないが一応白いギターも持っているとの事。何を歌っていたのか聞くとNSPだと言う。「それってもしかして ♪こーんな河原の夕暮れ時に、呼び出したりしてゴメンゴメン♪」の、あの気色悪い天野滋が率いるNSPか」と聞くと「そうだ」と答える。

 嫌な予感がしたが、しかしまあ、ギターを持っているのであれば、1小節に1音だけ弾く、所謂「白玉小僧」(全音符の意)で何とかベースはやれるのではないか。

 そして「マスター」。我々が彼の顔を見ると、いつになく控えめな口調で呟くように言った「俺、昔、ちょっと柳ジョージのバックで叩いてたんだ」

 これで話は決まった。問題はエレキベースが無い事だった。そこは当然「白玉ベーシスト」になる人間が用意すべきだだろうと、酒を飲みながら皆で「F」を散々攻め立てたが、先立つものが無いと言ってなかなか首を縦に振らない。

  すると黙って聞いていた「ママ」がしびれを切らしたのか、自分の指からリングを抜いて「これを質屋に持っていけば幾らかにはなるだろう」と啖呵を切った。これには流石に「F」も観念せざるを得ず、数日後、お茶の水の楽器店でショートスケールのベースを購入する事となった。

 因みにバンド名はブーフーウー。我々三人が子豚で「マスター」は狼君という設定である。

 次は練習場所の確保である。スタンドアローンのPCしか無かった当時、雑誌等を調べた結果、日本橋の職場から程近い秋葉原Laox楽器館の中にレンタルスタジオを発見。TAMAのドラムセット、キーボードはFender RhodesとKORG BX-3、他にアンプ類が揃ってリーズナブルな価格設定。早速私は昼休み、手続きに出向いた。

 地下鉄の駅から歩いて行く途中、白い衣装を纏い、訳の判らない日本語でチラシを配る若い男達がいた。何者かと近所の顔見知りの店員に尋ねると、格安パソコンを売っている「マハーポーシャ」という店の人間だという。「あそへは行かない方がいいですよ」彼は最後にそう付け加えた。その理由は後に「地下鉄サリン事件」として知る事となる。

 Laoxのスタジオの受付には若い女子社員が一人座っていた。後に我々は彼女を篭絡し、本来は認められない予定の変更等、便宜を図って貰うようになり、またある時は、彼女の為だけに土曜日「バンカー」を開け、接待した事もあったが、その時は淡々と手続きを済ませ、次の隔週出勤の土曜日の午後、ついに記念すべき第一回目のスタジオ入りを迎えた。ところがである、

 ベースの「F」はチューニングに一時間もかけた挙句に白玉どころか全休符。

 ドラムスの「マスター」が叩いていたのは柳ジョージのコンサートでの拍手だった事が判明。スネアだけでもリズムが取れない。

 キーボードの「N」はショパンなら弾けるがコードという概念に疎く、CやAmといった記号を鍵盤に置き換える事が出来ない。

 私を待ち受けていたのは全くアンビリバボーの世界。それでも諦めずに隔週土曜日、練習4時間、反省会6時間を続けた我々に、突然、救世主が現れた。私と同期入社の「S」が札幌から転勤してきて、我々がバンドを組んでいる事を聞きつけ、自分も「かてて」(加えて)くれと言ってきた。

 彼は最初、サイドギターをやると言ったが、スタジオでの休憩時間、ドラムを叩くとこれが何とマトモだ。聞けば学生時代、生バンド付の酒場で叩いていたらしい。

 そこで急遽楽器の担当をコンバート。「S」がドラムス、「マスター」がベース、「F」は見学と定めた。

 丁度その頃、CBSソニーが新たなレーベル立ち上げに伴い、新人を募集するというニュースが伝わった。早速これに応募する為、先ずバンド名を変更。南仏・プロバンス地方に吹く強い北西の季節風「Mistral(ミストラル)」という、名前だけでも思いっ切りオサレなものに決定。オリジナルを2曲、DTMを駆使して録音し、写真と履歴書を添付して送付した。

 このバンドはその後2年程、相変わらず練習4時間、反省会6時間の活動を続けたが、やがて勤務先は完全週休二日制となり、「S」はまた転勤、「F」は肝がんで早世、「N」は別会社に移籍、Laoxのスタジオは閉鎖となって、自然消滅した。

 そして「バンカー」には、かっての我々みたいな若い客が入り浸るようになり、私も歳を重ねるに連れ、次第にこの店から足が遠のいてしまった。

 それが昨年、突然の「バンカー閉店」の知らせを受け、辛うじて生き残った「N」と「S」と私は、久し振りに店に集合。すっかり変わってしまった頭髪や、体型を見合わせ、何はともあれ互いの無事を祝って乾杯した。

 酒を酌み交わせば、遠い日の思い出が昨日の事のように蘇る。ドラムスのみならずゴルフの腕も過大に誇示していた「マスター」の照れ笑い、結婚が決まった事を報告するLaox受付嬢の満面の笑み、そして死んだ「F」の屈託の無い大笑い。

 ほんのひとときだけ、優しい時間が流れた夜。しかし若さと勢いだけで駆け抜けたあの日々を、再び呼び戻す術はない。

 

 という訳で、今回は我々Mistralがレコード会社のオーディションに応募した楽曲をご披露しようと思ったが、かれこれ30年以上経つにも拘らず、未だにその結果が届いていない。恐らく今なお審査中と考えられるので、一応見送る事とした。

 その代わり、ラジカセで録音したスタジオでの演奏を完全無修正で添付する。曲は「OMENS OF LOVE」と「PRIME」。どちらも日本を代表するフュージョンバンド「スクウェア」の名曲を、我々がわざわざ迷曲にアレンジしたものである。 


OMENS OF LOVE / MISTRAL

 


PRIME / MISTRAL

 今般の新型コロナウイルスによる飲食店の惨劇を考えれば、昨年店を閉めた「マスター」の判断は正しかったのかも知れない。そんな気がする今日この頃である。

      f:id:kaze_no_katami:20200706214108j:plain

梅雨の晴れ間

f:id:kaze_no_katami:20200703184349j:plain

 暫く天気の悪い日が続いた。「梅雨だから仕方がない」と言ってしまえば身も蓋もないが、7月2日、この日は予報通り朝から「これはもう出掛けるしかない」ような快晴。取敢えず55~200mmのズームレンズを装着したミラーレス一眼だけを手に車に乗る。行き先は午前9時に開園する「川口グリーンセンター」。

 駐車場を出て直ぐ、バイクに乗った近所のラーメン屋の主人に会った。恐らく昨日出前した食器を回収しているのだろう。いつも通り私が右手を上げ合図すると、同じように返事をしてくれた。そう言えば暫く店に顔を出していない。

  目的地への道すがら、好きな洋楽のCDに合わせ大声で歌いながらの運転。これは自粛ストレスの発散手段として、すっかりマイブームになった感がある。

 埼玉県川口市立「川口グリーンセンター」は日本の都市庭園100選にも選定された植物園だが、今般のコロナ禍により4月から休園。緊急事態宣言が解除された5月25日、一部の屋内施設を除き再開された。尚、入園前の体温チェックとマスク着用が義務付けられている。

 ところが6月1日、(恐らく事前のノーティスはあったのだろうが)突然園内の1/4にあたる敷地が改修工事の為立ち入り禁止となり、しかもその作業は2022年3月末まで続くと言う。非常に残念な状況であるがこればかりは仕方がない。

 私は此処の年間パスポートを所持していたが、たまたま期限切れになっていたので新たに購入。その際、受付の年配男性に「閉鎖箇所があるのに料金は変わらないのか」と尋ねてみた。勿論本気でハードネゴをする心算など毛頭無い。そうやって他人と会話するを楽しんでいるのだ。当然誤解を招く事のないよう笑いながらの会話である。

 草花の写真を撮りながら園内をブラブラしていると、途中とてもアマチュアとは思えない撮影機材を抱えた老人が三脚を構えており、少し言葉を交わした。

 私が此処の改修工事が令和四年の三月末までかかる事を話すと、彼は自分はそこまで生きていないよと言って笑った。本来なら笑うような事柄ではないだろうが、何故か私も思わず一緒に笑ってしまう。そうする事がごく自然に感じられたのだ。

  さて折角私も写真を撮って来たので、良かったら御覧頂きたい。

f:id:kaze_no_katami:20200703113915j:plain

ナデシコ

f:id:kaze_no_katami:20200703114010j:plain

ユリ

f:id:kaze_no_katami:20200703114351j:plain

ボタンクサギ(牡丹臭木)

f:id:kaze_no_katami:20200703114715j:plain

タマアジサイの蕾

f:id:kaze_no_katami:20200703114830j:plain

アガパンサス

f:id:kaze_no_katami:20200703115019j:plain

パイナップルリリ

f:id:kaze_no_katami:20200703115118j:plain

ギボウシ

f:id:kaze_no_katami:20200703115239j:plain

バラ

f:id:kaze_no_katami:20200703115331j:plain

アメリカンブルー

f:id:kaze_no_katami:20200703115430j:plain

キチョウ(黄蝶)1

f:id:kaze_no_katami:20200703115800j:plain

キチョウ(黄蝶)2

f:id:kaze_no_katami:20200703115942j:plain

ハナスベリヒユポーチュラカ

 ひと通り園内を回り終え広場に戻って来ると、自販機で清涼飲料を買いテラスの椅子に腰を下ろした。気温は既に30度を超えているのだろうが、南東4mの風が頬に心地良くそよぐ。

 本当はビールを飲みたいところ、しかし園内は禁酒であるし、第一帰りも車を運転しなけばならない。

 涼し気に吹き上げる噴水を遠くに眺め、冷や汗をかいたペットボトルの栓を開けて冷えた液体をひと口飲む。『甘い、しかし昨夜食べた水蜜桃の甘さとは違う』そんな当たり前の事を考えながら、暫くぼんやりとしているとふと睡魔に襲われた。

 時計の針は午前10時半を指している。この後何処で何をするか、明日からはまた天気が崩れるらしい。2020年7月2日、梅雨の晴れ間は未だ始まったばかりだ。

      f:id:kaze_no_katami:20200703112845j:plain

新型コロナで失くしたもの

 

f:id:kaze_no_katami:20200630151515j:plain

美々卯 京橋店

『二度あることは三度ある』その言葉に従えば、前回、前々回で投稿した食レポとも店の紹介ともつかない料理写真張り付け記事を書けるのも、残すところあと一回。読者諸氏に於かれても、うんざりする事無く『仏の顔も四度』まで延長する心算で何卒お目こぼし願いたい。

 さて、唐突ではあるが「うどん」か「蕎麦」かと問われれば、あなたはどちらを選ぶだろうか。私の場合は間違いなく蕎麦である。

 子供の頃は御多分に漏れずスパゲティ小僧だったが、歳と共に次第に洋から和へと嗜好も移行、気が付けばいつの間にか蕎麦党に名を連ねるようになっていた。

 では何故「うどん」ではないのか。蕎麦の方が食物繊維が豊富で、蕎麦湯には血管を強くするルチンが含まれている、などという健康志向の問題では無い。考えてみれば特に「うどん」を嫌う理由も見当たらず、要は太い麺が苦手なだけなのかも知れない。

 それでも年に一度、鍋が恋しい季節になると、年中行事の如く必ず出掛けて行く「美々卯」という「うどん屋」がある。

 ここは自称「泉州・堺で200年続く料亭」らしく、日本料理全般の他「すき焼き」や「しゃぶしゃぶ」も提供するが、何と言っても元祖「うどんすき」として有名な店だ。

ja.wikipedia.org

 ところがである。首都圏が未だ非常事態宣言下にあった5月20日。何気なく眺めていたネットニュースの記事に私の目は釘付けになった。

 「うどんすき」の東京美々卯が全6店閉店へ コロナ影響 売上が落ち込み事業の継続困難 関西は継続(産経新聞

 これには本当に驚いた。何十年も前から暖簾を潜ること数知れず、高C/Pで知り合いの間でもすこぶる評判良好、行けば常に賑わっている印象ばかりが残る店である。「そんな事もあるのか」と茫然としていると、友人の一人が早速その事をLINEで伝えて来た。

 とは言っても私に何か出来る訳ではない。今年の暮、大手を振って酒宴が許されるような状況になったとしても、いつもの店のあの味はもうそこには無い。まるで旧知の友人が先に逝ってしまったような寂しさを覚える。

  恐らく読者諸氏の中にも同じように、行きつけの店、お気に入りの店を失くしてしまった方もおられると思う。

 今回は以下の写真を以って在りし日の「美々卯」を偲び、その記憶を止める墓碑としたい。

            f:id:kaze_no_katami:20200628085330j:plain

東京メトロ銀座線「京橋」下車。店の入口付近

            f:id:kaze_no_katami:20200628085433j:plain       

席に案内される。 

       f:id:kaze_no_katami:20200628085532j:plain

先付

       f:id:kaze_no_katami:20200628085638j:plain

造里       

          f:id:kaze_no_katami:20200628085838j:plain

名物「凍結酒」 日頃、日本酒は殆ど飲まないが、ここだけは別。

       f:id:kaze_no_katami:20200628085750j:plain

揚物   

       f:id:kaze_no_katami:20200628085939j:plain

メインの「うどんすき」車海老は活きている。 

       f:id:kaze_no_katami:20200628090021j:plain

             f:id:kaze_no_katami:20200628090115j:plain

薬味はレモン、九条ネギ、紅葉卸、しょうが。

            f:id:kaze_no_katami:20200628090350j:plain

            f:id:kaze_no_katami:20200628090449j:plain

 尚、「美々卯」は 東京からは撤退したが、「うどんすき」の具材とつゆのセットは通信販売で入手可能。またどうしても店で食べたい場合は、大阪、京都、名古屋の何れかに行けば良い。

 しかし、その為だけに新幹線に乗るのは少々辛い。何れにしても、今後更なる「お気に入り」閉店の知らせが届かない事を願って止まない。

      f:id:kaze_no_katami:20200628085203j:plain

たまに行くならこんな店

f:id:kaze_no_katami:20200626110702j:plain

 「味を占める」= 一度経験した利益に味を覚えて、またそれを望む。(広辞苑 第六版)

 そうなのである。私は味を占めてしまったのである。七面倒くさい理論を捏ね繰り回したり、何の役にも立たない美辞麗句を並べ立てたり、如何にも尤もらしい人生訓を宣うたり、人の神経を逆撫でするアジテーションを喚いたり・・・。別にそんな事をしなくても、美味しそうな料理の写真を何枚か張り付けるだけで、充分にブログは成り立つのである。

 いきなり年甲斐もなく、世を拗ねたような書き出しから始めてしまったが、実際のところ文章を書くのが大儀に思えて仕方が無い。勿論、何も書かなくても何ら問題がない事は充分承知。それでも数日間、投稿せずにいると次第に不安を感じる。これはもう明らかに「新型はてなウイルス」に感染した兆候だ。

 そこで考えたのは、またしても自分で作った訳でもない「料理写真の羅列」という安易な道の選択だ。有難い事に前回の日本料理「ざくろ」の記事は予想外の反響を賜り、ここは一つ、二匹目のドジョウを狙おうと考えたのである。

 だが前回はフェイスブックの「想い出」にかこつけて何とか正当化したが 今回は大義名分が立たない。

 そこで「世界で一番多くのはてなスターミシュラン・スターを持つシェフ」と呼ばれたジョエル・ロブションの名を冠する「ラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション」というフレンチレストラン(因みにここは二つ星)であれば興味を持って頂けるのではないか、との結論に至った。

 さて、そこで2019年某月某日

           f:id:kaze_no_katami:20200625112520j:plain

  やって来たのはJR山手線「恵比寿駅」。ここから「恵比寿ガーデンプレイス」迄は動く歩道で繋がっており、そのガーデンプレイスの一番奥にある建物の中に、目指す店が入っている。

      f:id:kaze_no_katami:20200625112556j:plain

  早速中へ、席と料理は予め予約済。

           f:id:kaze_no_katami:20200625112625j:plain

 リボンが結ばれたナプキン、オサレだ。

  そしていよいよ宴の始まり。尚、以下にやたらと長く意味不明の文言が並ぶ料理名を記すが、私自身は全く理解していないので悪しからず。

      f:id:kaze_no_katami:20200625111553j:plain

茨城県産メロン ガスパチョ仕立て、リレ・ブランのジュレに注ぎ リコッタチーズのソルベを浮かべて

 

      f:id:kaze_no_katami:20200625111534j:plain

カンパチのカルパッチョ シトロンキャビアとスパイスのコンディモン カラマンシーの香り

 

      f:id:kaze_no_katami:20200625111248j:plain

半熟卵 コロナータ産ラルドをまとわせ、ピペラードのクーリと一緒に

 

      f:id:kaze_no_katami:20200625111225j:plain

青森県産 平目 香ばしく焼き上げ、アーティチョークのバリグールとバジルのエッセンス

 

      f:id:kaze_no_katami:20200625111347j:plain

フランス ロゼール産 仔羊背肉のロティ サラダパストラミとポムピュレと共に

 

      f:id:kaze_no_katami:20200625111423j:plain

アナナス なめらかなココナッツのムースとシトロンヴェールを閉じ込めたグラニテを合わせて 

 飲み物は基本的に赤白ワインだが、試しに好きなビールを頼んでみた。 やはり注ぎ方も一流、見事だ。

      f:id:kaze_no_katami:20200625113134j:plain

  如何だっただろうか。こうして振り返ると味は勿論の事、熟考された彩りも素晴らしいの一言に尽きる。そしてもう一つ特筆すべきは、知識と節度を兼ね備えた大勢の若いスタッフのサービスである。

 確かにガード下の若干衛生管理がヤバそうな焼き鳥屋で、如何わしい酒類を呷りながら大声で語らうのも、それはそれで楽しい。しかし偶には少しオシャレしてこんな店に行ってみるのもイイものである。

      f:id:kaze_no_katami:20200625111021j:plain

あの素晴らしい夜をもう一度

f:id:kaze_no_katami:20200623120310j:plain

 フェイスブックに登録している方ならご存知の事と思うが、メニューの中に「思い出」という機能がある。これは当該日と同じ月日に以前自分がシェアした写真や文章がある場合、それを表示し改めてシェアを可能とするものだ。

 重要案件とは違い殆どは細かい日付など記憶していない出来事なので、ある意味備忘録的な役割を果たし、自分でも感慨深い事柄も多い。

  そして今回「最近の出来事から過去の思い出まで、Facebookでの思い出の数々を振り返ってみよう」という直訳風日本語と共に現れたのは、昨年食事に出かけた東京都中央区日本橋室町にある日本料理レストラン「ざくろ」の記事。

 そこで私の灰色の脳細胞が閃いた。

 『今更フェイスブックでシェアしても詰まらないし、これを流用し写真を貼り付ければ、多少ページの表示が重くなるにしても、いつものショーも無い文章を捻りだす手間も省け、手っ取り早くブログが一つ完成するのではないか』

 という事で早速お手軽にでっち上げた記事でお茶を濁す事とする。

      f:id:kaze_no_katami:20200623063855j:plain

東京メトロ銀座線「三越前」下車、COREDO室町1へ。

      f:id:kaze_no_katami:20200623063952j:plain

6階にある「ざくろ」の外観。この店は昔、中央通り沿いの地下にあった。

           f:id:kaze_no_katami:20200623064034j:plain

先ずはオサレにシャンパ

      f:id:kaze_no_katami:20200623064111j:plain

前菜「蟹サラダ」

      f:id:kaze_no_katami:20200623064140j:plain

「貝の酒蒸し」

      f:id:kaze_no_katami:20200623064210j:plain

「トマトサラダ」ドレッシングガ絶品!

      f:id:kaze_no_katami:20200623064250j:plain

「スズキの唐揚」と「アスパラ豆腐」

      f:id:kaze_no_katami:20200623064320j:plain

メインは勿論黒毛和牛!

           f:id:kaze_no_katami:20200623064357j:plain

「ポン酢」と特製「胡麻だれ」

      f:id:kaze_no_katami:20200623064429j:plain

締めは中居さんがしゃぶしゃぶした出汁でラーメンを作ってくれる。

      f:id:kaze_no_katami:20200623064508j:plain

別腹デザートはTopsのチョコレートケーキ。

 二次会は斜向かいにある三井タワー内の5ッ星ホテル「マンダリンオリエンタル東京」のバー。

      f:id:kaze_no_katami:20200623064552j:plain

      f:id:kaze_no_katami:20200623064625j:plain

37階からの眺め。生憎外は雨模様、梅雨だから仕方がない。

      f:id:kaze_no_katami:20200623064656j:plain 

JW青のストレートをブランデーグラスで。

 さて永らく続くSTAY HOMEの日々。外食が不要不急である事に変わりはないが、これが僅か一年前の出来事と思えば隔世の感さえある。聞くところに拠れば県境の関所は取り払われ、飲食店の営業時間の縛りも緩くなったらしい。しかしそれでも尚、一抹どころか二抹も三抹も不安は残る。願わくば一日も早く、楽しかったあの頃の夜を取り戻したいものである。

      f:id:kaze_no_katami:20200623065308j:plain

 ざくろ」からライトアップされた「三井本館」を望む

季節の花(水無月2)

f:id:kaze_no_katami:20200619120911j:plain

 梅雨入り宣言から凡そ一週間余り。真夏を思わせる気温の中、流石にマスクを付けたまま炎天下を歩くのは、かなり危険である事を体感した。そして漸く昨夜から雨が降り続き、梅雨らしい肌寒い朝が訪れた。

  新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言解除後も、食料買い出しは相変わらず三日に一度を守っているが、このところスーパーに行くと熟した梅の実が大量に並べられているのが目に付く。

 それを見て私は、昨年久し振りに「梅酒」を漬けた事を思い出した。

        f:id:kaze_no_katami:20200619124419j:plain

 上の写真は昨年仕込んだ時のもの。それが一年経つと下のようになる。

        f:id:kaze_no_katami:20200619124555j:plain

 試飲してみると、これが甘い。否、甘過ぎる。明らかに氷砂糖の入れ過ぎである。フェイスブックの友人からソーダ割りにすればいいとアドバイスを貰ったが、どうしても飲みたい訳ではないので、暫く様子を見る事にした。その内、10年物になるかも知れない。

  ところで雨が続くと困るのは先ず洗濯だ。我が家には乾燥機が無いので部屋干ししなければならず、下手をすると生乾きの嫌な臭いがこびりついてしまう。

 次は室内の湿度の上昇。家にある楽器に悪影響を及ぼす事は確実。エアコンで除湿するとどうしても室温も下がり寒くて堪らない。

 他には車を運転する際、屋根を開けられない事位か。

  しかし最も危惧するのは大雨により水害等が発生し、避難を余儀なくされる事であり、このような状況下、間違ってもそれだけは起きないよう願うばかりだ。

 さて、前回の「季節の花」の後編を作ってみた。代わり映えもせず心苦しい限りであるが、もし良ければ御覧願いたい。


季節の花 (その二) /風のかたみの日記

 

 

      f:id:kaze_no_katami:20200619122505j:plain

季節の花(水無月1)

f:id:kaze_no_katami:20200612091041j:plain

 暫くの間ブログの事は忘れてリフレッシュしようと考えた。「主語と述語の関係は正しいか、漢字は間違っていないか、『てにをは』は妥当か」等々、日常生活をする上であまり重要ではない事柄を考える手間から逃れたかったのだ。

 ところがどっこい、そうは問屋が卸さない。あろうことか安眠を貪る私の夢の中に「新型はてなウイルス」が侵入し、その夢の中で私はパソコンを立ち上げ、何やら一所懸命に文章をタイプしているのである。

 そして目覚めると、どうした事か、つい先ほど書いた筈の素晴らしい名文は何処かへ消え失せ、そこには煌々と明かりを点けたまま、寝落ちした自分がいるだけなのだ。

 思いの外、この病は重い。もう暫く休養が必要と思われる。

 ところが更新を怠っている間にも前回のブログに付された「はてなスター」は増殖を続け、今やその数何と580。このままでは立寄って下さった読者の方々に対し、申し訳が立たないのである。

 という訳で急遽、最近撮影した草花の写真を、省スペースを兼ねて短い動画に編集しYouTubeにアップ。ささやかながらこれを御礼の印にしたいと思う。


季節の花/風のかたみの日記

 

 

     f:id:kaze_no_katami:20200612132235j:plain