2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

青春浪漫 告別演奏會顛末記 17

10.『すべてとお別れだ』クマは心の中で呟いた (1) フェアウェル・コンサートを数日後に控えて、センヌキの家での I, S & N の練習は連日夜まで続けられた。しかし今まで吉田拓郎の歌が全てだと信じてきたセンヌキに、クマの高度というよりは、単にマニアッ…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 16

9.「何故もっと早く・・・」ダンディーが恨み言を言った 再びレッスンが始められたが、ナッパの生まれつきとも考えられるリズム感の無さから、これ以上の練習は時間の無駄のように思えた。『小中学校の音楽の授業を、彼女は一体どうやって乗り越えて来たのだ…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 15

8.「♩...♩...」ニッカは必死にリズムを刻んだ ナッパは正門脇にある自転車置き場の前で待っていた。『いやあ、お待たせしてゴメン。さあ行きましょうか』と言おうとしたクマは、彼女の隣にニッカが立っているのを見て、思わず言葉に詰まってしまった。…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 14

7.「ごちゃごちゃ言ってんじゃねーよ」アガタは迫力ある顔にものを言わせた (2) ナッパとの夢の合同練習当日、クマはアガタの家へ行き、彼が知り合いから引っ掻き集めてくれたギターアンプ類を二人で、センヌキの父親から分捕った感のある「上野毛NAPスタジ…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 13

7.「ごちゃごちゃ言ってんじゃねーよ」アガタは迫力ある顔にものを言わせた (1) クマ達はその日、機関誌「DANDY・最終号」編集の為、試験休み中にも拘らず登校した。一番最初に教室に着いたクマは、女子が数名いるのを見て一瞬驚いたものの、すぐに『春休み…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 12

6.「月の法善寺横丁?」クマは首を傾げた 四月から3年生へ進級にあたり、学校側は卒業後の進路に合わせたクラス編成を行う為、「進学」「就職」、そして進学組は「国公立」「私大」の四年制、短大、また夫々理系、文系別の志望調査を行った。 出来れば一日…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 11

5.「青山純がいるのに」誰もがそう思った 実質二ヵ月位しかない三学期は瞬く間に過ぎた。その間クマは、オリジナル全8曲からなる一人多重録音のテープ第二弾を、極一部の学友諸君に対し緊急発表し、アグリーも新曲を二つ作った。 アグリーは20世紀最大の…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 10

4.「許せない!」クマはジェラシーの炎に身を焦がした (2) 投稿された「悲しい夢」に対する『夢判断』を、アグリーは次のように「DANDY」に書いていた。 天国の花園より夢見る少女へ・・・ 若い日々の一つの愛は、 あなたを今まで行ったことの無い所へ連れ…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 9

4.「許せない!」クマはジェラシーの炎に身を焦がした (1) フェアウェル・コンサートへの出演依頼に対するナッパの回答は、直接伝えられる事はなく、アガタが何処からかクスねてきた郵便受を、教室の壁に取り付け「DANDY」 投書箱と書いた中に入っていた。…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 8

3. 「私は怒っています」ナッパは電話の向こうで泣いた (3) 話が少し遠回りした。機関誌 「DANDY」 の編集が毎週木曜日の放課後に行われている事は既に述べた。そんなある日、現国のテストの答案が返って来た。教員チカン清水は教壇から1人ずつ名前を呼んで…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 7

3. 「 私は怒っています」ナッパは電話の向こうで泣いた (2) 『五行 ①中国古来の哲理にいう、天地の間に循環流行して停息しない木・火・土・金・水の五つの元気。万物組成の元素とする。』(広辞苑第六版より抜粋) 現国の教員、チカン清水は、中間、期末と…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 6

3.「私は怒っています」ナッパは電話の向こうで泣いた(1) メガネユキコは同い年ながら、分別のある言動や日頃の立ち振る舞い等から何処かしら年上のように見え、クマ達もごく普通に会話が出来る数少ない女子の同級生で、2年4組の学級委員でもあった。 彼…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 5

2.「僕達は週刊DANDYを発行します」編集部一同が宣言した (2) 一方コンサートの方は「2-4 フェアウェル・コンサート」と名をうって機関紙『DANDAY』の紙面を借りPRが始められた。尤もどちらも同じ仲間内での企なので、すべからく自画自賛の世界であった…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 4

2.「僕達は週刊DANDYを発行します」編集部一同が宣言した (1) 年が明けて1974年1月、その機能的外観から「軍艦島」と呼ばれた三菱端島炭鉱閉山のニュースが巷に流れていた。 それとは全く何の関係も無く、深沢全共闘、兼新聞委員のアガタの発案のもと週…

青春浪漫 告別演奏會顛末記3

1.「コンサートやらないか」アグリーが言い出した (3) アグリーのソロアルバム制作は手持ちのオリジナルがまだ数曲残っていたが、写真撮影など開始時に無用な時間を浪費し過ぎた為、結局4曲を録音して年の瀬を迎え時間切れとなり、取敢えず終了した。 残…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 2

1.「コンサートやらないか」アグリーが言い出した (2) レコーディングごっこであるからして、当然スタジオで録音するわけではない。その頃の彼等の小遣いでは学用品を除き、月々LPレコード1~2枚とギターの弦を買う位が精一杯で、レンタルスタジオを借…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 1

1.「コンサートやらないか」アグリーが言い出した (1) 国道246号線、通称玉川通りは世田谷区駒沢を過ぎると多摩川に向かってだらだら坂が続く。その途中、深沢八丁目のバス停から駒沢通りへと抜ける桜並木の道沿いに東京都立深沢高校はあった。 創立か…

連載開始のお知らせ

改まって告知する程の事ではないが、以前から考えていた企画を実行しようと思う。実を言うと私には、この「風のかたみの日記」の他に別IDで2016年から始めた創作小説を掲載するブログがある。 だが全く何の予備知識も無いまま見様見真似で「はてなブロ…

こんなのあり?

先だってひつじ (id:nyanteicafe)さんと二日間に渡り、サイモンとガーファンクルがソロになって以降の曲をYouTubeで紹介し合うというコラボレーションを行った。 実はその際私は、以前から気になっていた事を思い出してしまった。それは所謂「パクリ」=「盗…

一枚の写真

その昔、クレジットカードのCMに「出掛ける時は忘れずに」というキャッチコピーがあった。世界中で通用するという薄っぺらいプラスチック製の板切れさえ持てば、それだけで事足りると謳ったものだろうが、今やスマートフォンがそれに取って代わろうとしてい…

GW特別企画(ひつじ さんとコラボ 2)

第2回 ART GARFUNKEL 特別企画2日目はご存知S&GのG、天使の歌声・アート・ガーファンクル。何故「天使~」という冠詞が付くのかは、それこそ歌声を聞いて貰えれば判るのではないかと思う。 ja.wikipedia.org 今日、「ひつじ」さんの「Nyan…

GW特別企画(ひつじ さんとコラボ 1)

第1回 PAUL SIMON ポール・サイモン、その名前を認識してから彼是半世紀が過ぎた。とにかく彼について書きだしたら言葉は尽きないが、今回の目的は曲の紹介なのでそれには触れない。興味のある方はこちらをご参照。 ja.wikipedia.org ところで敵は…

GW特別企画(ひつじ さんとコラボ 予告)

「年寄りの朝早い」とよく聞くが、かく言う私も年々早起きになり、今や午前4時には目覚めてしまう。尤も昔のように、深夜まで飲み歩く事をしなくなったお陰で寝付くのも早く、消灯は遅くとも午後11時である。(偶に明かりを付けたまま寝落ちもある) 朝の…