ニンドスハッカッカ

昨年12月7日、稀代のコメディアン小松政夫が逝った。享年78歳。少し早いような気もするが肝細胞癌だったという。 私が彼を認識する切っ掛けは遠い昔、映画評論家「淀川長治」の物まねからだった。淀川は毎週日曜日、テレビの洋画劇場の解説者として番組…

シンクロニシティ(初回投稿2020年1月17日)

あの日から26年の歳月が流れた。それは即ち日本の人口の凡そ2割が「阪神・淡路大震災」をリアルタイムで知らない事を意味する。だが別に不思議な事ではない。私達の大部分もまた、1923年(大正12年)に起きた「関東大震災」を知らないのだから。 し…

凍りついた声

年明け早々今季一番の寒波が到来、北陸、上信越を中心に広範囲に渡って大雪に見舞われた。積雪は年中行事の地域とは言え、場所によっては平年の6倍も積もったらしい。 それに伴い雪下ろし中に転落して命を落とす人も後を絶たず、亡くなった方々の多くは高齢…

二十歳の頃

今週のお題は「大人になったと感じるとき」。1月11日が「成人の日」だからなのだろうが、この新型コロナ禍、各自治体は式の実施に頭を悩ましている事だろう。 ところで「成人の日」が1月の第2月曜日となって既に久しい。以前1月15日であったものを無…

季節の花(令和三年一月)

改めまして。明けましておめでとうございます。 年末年始、蕎麦屋にも神社にも出かけず唯ひたすら自宅に閉じ籠っていた。何年か振りに御節料理を予約しておいたが大して旨くもなく、やたらと味が濃過ぎる。まさしくこれが本当の「せち辛い」を、年始早々に味…

謹賀新年

年末御挨拶

とにかくコロナに明けコロナに暮れる一年になった。しかもその禍は衰えるどころか更なる猛威を振るい、異例の速さで開発されたワクチン接種が我が国でも始まろうとしている矢先、まるでそれを察知したかのように今度は感染力7割増の変異種が現れた。 いい加…

メリー・クリスマス

クリスマスについて最初の記憶は未だ幼稚園に行く前、恐らく3~4歳の頃だと思う。ある日の午後、家の垣根の向こうに父方の叔父がひょっこり顔を出し笑顔を見せる。玄関の扉を開くと手にデコレーションケーキが入った白い箱を持っていた。 当時ケーキなど滅…

大つごもり(初回投稿2018年12月17日)

時折「はてなブログ」から『過去のブログなどを振り返りませんか』とのメールが届く。殆どはスルーしているが、今回ふと思い立って以下の通り再掲してみることにした。 今回もまた筆者が常日頃関心を持っている事柄、「宇宙・天文・暦」について書いてみよう…

風雅の技法

小中学校の授業以外、音楽に関して特別な教育は受けていない。それでも決して上手いとは言えないもののギター、ピアノ、ベース、ドラムは何とかこなす楽器小僧である。病が高じて太棹の三味線まで手に入れたが、これは未だ収納の中に眠ったままだ。 「眠った…

季節の花(師走)

毎年この時期になると薄墨で書かれた定型文の葉書が届く。かってその文面の主語は「祖父が」か「祖母が」であり、やがてそれが「父」か「母」に変わって、ついには本人の名前が記される事となる。 しかしそれは避けては通れない自然の摂理。枯れ果てた一年草…

新蕎麦を食す

親子三代以上脈々と続く生粋の江戸っ子ではないが、意地っ張りで喧嘩っ早く人情家で涙脆い。ついでに「宵越しの銭は持たない」と啖呵の一つも切りたいところ、残念ながら生来「金」とは縁遠い。それでも新たな季節の到来を告げる初物や旬の物には目が無く、…

季節の花(霜月)その三

このブログを更新するタイミングについて特に決めている訳ではないが、今月はいつになく記事数が少ない。それと言うのも最近文章を書く事が大儀に思えて仕方が無いのである。 元来筆者は滔々と高説を垂れる程の蘊蓄も無く、仮に何か書いたところで以前読んだ…

季節の花(霜月)その二

iOS のバージョンが 14 になって以降、それまでの使い方が突然出来なくなったりして少々面喰っていた。しかも、そうこうしているうちに今度は Windows 10 が訳の分からないバージョン 20H2 とやらにアップデートしてしまい、これもまた何となく使い勝手が悪…

季節の花(霜月)その壱

11月8日、暦の上では既に「立冬」を迎えたというのに気温はあともう少しで「夏日」に迫る23度を記録した。日本には「小春日和」なる洒落た言葉があるが、そう呼ぶには少々暑過ぎるような気もする一日だった。 幾ら季節の変わり目とは言え、このような気…

「ピーナッツ」70周年

最近の話題と言えばアメリカ大統領選挙を除き、何をおいてもアニメ映画「鬼滅の刃」に落ち着くだろう。老いも若きも、右も左も、青も赤も、猫も杓子も、馬も鹿も、挙って難解な名前をもつ登場人物達が繰り広げる世界に夢中になっているらしい。 それなのに私…

日光2020

毎年この時期になると必ず日光へ紅葉狩りに出掛けている。昨年、一度目は東北自動車道が濃霧の為通行止めとなり途中で断念、日を改めて漸く辿り着いた事を思い出した。 kaze-no-katami.hatenablog.jp しかし今年は矢張り新型コロナウイルスの感染が怖いし、…

コスモス

コスモスの花が見頃だ。白や桃色、紅の花弁が秋の陽を浴びて目に眩しい。私は誘われるようにカメラを抱えイソイソと出掛ける。 コスモスの語源はギリシャ語の「宇宙・統一」なのだそうである。「COSMOS」といえばカール・セーガンとかいう御仁もいたが、より…

諡(おくりな)

今回は柄にもなく少々苦言を呈したい。と言っても大した話では無く常識的な事なので気軽に読んで頂きたい。 先日、特に当ても無く適当に「はてなブログ」を冷やかしていたところ、偶然にもあり得ない、あってはならないと思われる文言を目にしてしまった。誹…

季節の花(神無月)

前回10月12日に「季節の花(長月)」を投稿したばかりだと言うのに気が付けばもう今月も半ば。年末まで既に80日を切ってしまった。 然るに筆者が折々に撮影した写真は外付けハードディスク内にシコタマ貯まったままで、この調子では季節外れ、且つ賞味…

ただその40分間の為だけに(後書)

9月3日に連載をスタートした「ただその40分間の為だけに」というタイトルの物語は、10月9日無事最終回を迎えた。書き終えた今、感じる事と言えば「よく最後まで続けられたな」それしかない。 正直な話、何度か途中で止めてしまおうと考えた時もあった…

ただその40分間の為だけに(最終回)

半年後、クマは晴れて大学生になっていた。「晴れて」という表現が第三志望の合格に相応しいかはさて置き、アグリーやセンヌキを始め、他の仲間の男子生徒は軒並み浪人暮らしが確定し、それとは対照的に女子では唯一人国立大学を目指すメガネユキコを除いて…

ただその40分間の為だけに(24)

遂にその時が訪れた。しかし「ヒナコさんグループ」に緊張感や気負いは無かった。それは偏にこれまでの膨大な練習量の賜物と言えよう。クマにしてみても同じ曲をこれ程繰り返し演奏した経験はかって無かった。 「行くよ」ステージへ続く暗い通路に響いたクマ…

ただその40分間の為だけに(23)

世田谷区民会館は隣接する区役所と同様、外壁が無くコンクリートの地肌を剥き出しにした灰色の建物だ。竣工が1959年である事を考えれば、当時としては斬新なデザインだったのかも知れないが、それから15年を経た今では単に無機質で冷たい外観の構造物…

ただその40分間の為だけに(22)

1974年9月、新学期が始まると校内の雰囲気は一気に文化祭一色に染まった。各クラスとも連日夜まで居残り準備に追われていたが、学級単位の催し物には一切関わっていない「ヒナコさんグループ」の面々も同様に連日連夜練習に明け暮れていた。 午後6時以…

ただその40分間の為だけに(21)

「それで、お葬式には行ってきたの」ヒナコがクマにそう尋ねた。梅雨明けは未だ発表されていなかったが、校舎の屋上に上がると乾いた風が優しく頬を撫で、遠く駒沢給水塔の青いドーム状の屋根がくっきりと浮かび上がって見えた。 「いや、それが何でもごく内…

ただその40分間の為だけに(20)

「ヒナコさんグループ」を続けながらも、クマは来年二月に迫った大学受験の事を忘れた訳ではなかった。バンド練習の無い日は今まで通り帰宅後直ぐに午睡を取り、夕食を済ませ午前三時まで机に向かう。そして翌朝七時に起きて登校、そのような生活を続けてい…

ただその40分間の為だけに(19)

世田谷区民会館の舞台に立つまで既に三ヶ月を切っていた。「ヒナコさんグループ」が使える時間は未だ不明だったが、レパートリーにムーの二曲目が加わり、取敢えずはこれをメインに練習を続けていた。 しかし未だ四曲では足りない。ステージを30分以上維持…

ただその40分間の為だけに(18)

結局ニクソン大統領は辞任、軍用ヘリコプターに乗ってホワイトハウスを去った。そのニュースが極東の日本に伝えられた頃、東京は漸く梅雨空が晴れ、日に日に日差しが強まっていた。 「ヒナコさんグループ」は週一度の練習を欠かさず続けていたが、レパートリ…

ただその40分間の為だけに(17)

6月に入り梅雨特有の鬱陶しい天気が続いた。雨は下旬になって本格的に降り始め、月が替わると折からの台風8号の影響を受け日本各地に甚大な被害をもたらした。 クマ達が住む世田谷、目黒区周辺も、一級河川の多摩川や彼等が通う深沢高校の傍を流れる呑川流…