(怒)痴漢と間違われる

「冗談じゃない!この私が痴漢などする訳が無い!!八百万神に誓ってもいい!!!」

 かって乗車率197%の朝の通勤電車で出勤を余儀なくされていた頃の話だ。ある朝、私は何時ものようにビトンのブリーフケースを持ち、満員の車内に乗り込んで出口側に向きを変えた。

 すると直ぐ後から、見るからに暑苦しそうなブスでデブな女子高生が無理やり押し入り、私と同じように方向転換、最悪なお見合い状態は回避されたかに思えた。

 私は通常右手で吊革に摑まり左手にバッグを持つ。ところがその日に限って吊革に空きは無く、仕方なく両手でバッグの取っ手を強く握り締め体の前面に構えた。

 そこへこの世の物とは考えられない女子校生のブヨブヨのケツが食い込んで来た。私も決して痩身とは言えないが、所謂デブ専では無くこれは止めて欲しい。

 兎に角、手を動かさない事に神経を集中。しかし電車の揺れに因る多少のブレは如何ともし難い。

 幸い彼女は途中駅で降り、こんな所で下車するようでは、ろくな学校にも行っていないのだろうと安心した私の両手に鋭い痛みが走った。

 何と汚い豚の爪で引掻いたのだ。私は思わず背中を蹴飛ばしてやろうと思ったが、大人げないので自重した。

 しかしあのバカ娘が学校で「私、今朝、痴漢されちゃった」と得意げに話す光景が目に浮かび、車内暴力で訴えてやれば良かったと今でも後悔している。

 尚、これはウケ狙いのフィクションでは無く、また一部不適当な表現があるが、当時の感情を忠実に伝える為、敢えて自主規制はしていない。

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