八朔

「はっさく」と聞いて、果物の名前と答えるのがノーマルな人だと思う。また回答が坂本龍馬であれば、「船中八策」を知る歴史ファンであろう。

 今日8月1日、テレビのニュースを見ていると、京都の芸妓や舞妓さん達が挙って芸事の師匠やお茶屋を挨拶に回る場面が映されていた。そしてこの事を恒例行事の八朔というらしい。これは一体何事か。

 朔とは新月の事をいう。ご存知の通り新月から次の新月迄29.5日周期で、以前はそれをひと月とした(太陰暦)。日本語では天体の名と暦の単位も「月」とひとつの名前で呼ぶ。英語では前者をMonth、後者がMoonと語形変化が起きているが、元は同じである。

 何れにしろ、月の始まり1日は新月である為、これを朔、八朔は旧暦8月1日の事を意味している。この頃、即ち現在の9月初旬、稲穂が実り古くから農家では、その初穂をお世話になった人達へ贈る習わしがあったという。それが何らかの理由で京都市東山区祇園一帯に広まったのだろう。どちらも「恩義ある人への御礼」という点が同じである。

尚、私は酸味の強いこの名前の柑橘類が好物である。

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