村上春樹が見た風景

 さて、今回も思いっきり大それたタイトルだ。

 今年の猛暑、外出時には帽子の着用が欠かせない。このところ私はNとYを重ねたロゴタイプの野球帽をかぶることが多く、顔見知りの人達からはニューヨーク・ヤンキーズのファンかと尋ねられることもよくある。

 しかし、私はヤンキーズに対し特別な思い入れは無く、NYは単に自分の氏名の頭文字(イニシャル)のつもりなのだ。

 野球と言えば、何と言ってもヤクルト・スワローズと相場は決っているが(決っていない!)、昔の神宮球場は、ビジター球団の応援の方が多く一塁側指定内野席はガラ空き、ある程度時間が経てば、空いているバックネット裏に移動しても全く問題がない状況だった。

 それでも昭和53年、陰湿そうな広岡達朗監督のもと、遂にリーグ優勝、更には日本シリーズ優勝も果たす。

 私はこの年3Aから移籍してきたデイブ・ヒルトン内野手のファンで、シーズン中は何度も球場に足を運んだが、開幕戦はテレビで見ていた。

 一回裏、一番打者ヒルトンはピート・ローズのようなクラウチングフォームから左中間に二塁打を放ち、デビュー戦を華々しく飾る。

 随分後になって、私はこの光景を球場の外野席で見ていた男の事を知った。彼はこのヒットがきっかけで小説を書くことを思いたったと言う。

 そして、その作品はこう名付けられた・・・「風の歌を聴け

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