断捨離 1

 私が住む集合住宅では年に2回、火災報知器など消防用設備の点検がある。これは消防法に定められた義務なので受けない訳にはいかない。

 問題はその点検の際、点検員が室内に立ち入る事である。火災報知器はすべての部屋と洗面所、また押し入れの中にまで設置されており、そのどれもが検査の対象。

 何故問題なのかと言えば、違法な植物等を栽培しており・・・では無く、ただ単に部屋を散らかしているからだ。

 検査を請け負った会社から派遣される点検員は、多分毎日のように様々な状況の部屋を見ている訳で、少々散らかっていようが関知する筈が無い。他人は自分が思う程こちらに注目はしていないものである。

 そんな事は解っている。要は自分が人の目を気にしなければ済む事なのに、妙な自尊心がそれを許さない。自尊心というよりは羞恥心かも知れない。

 住居内を常に綺麗にしておけばこんな問題は起きない。しかし既に散らかっているのだから答えは唯一つ、片付ければ済む話だ。

 ところが現実はそう簡単では無い。少なくともこの半年間だけとっても、確実に物が増えている。それらは必要だから揃えたのであって、殆どが耐久消費財である。従って物の量が収納能力を超え、至る処に散乱するのは至極当然の成り行きなのだ。

 これらの問題に決着をつけるには、何かを犠牲にしなければならない。この場合、犠牲とは手放すこと。もっと端的に言えば、捨てる事である。

 そして、この容易ならざる事態を収拾する為には、私は最低一週間は必要と考え予備日も考慮の上、ついに検査日の10日前に行動を起こしたのだった。

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