Trick or Treat(ピーナッツが教えてくれた)

 先ず、「ピーナッツ」がコミックのタイトルであると知らない人は、ここでお引き取り頂きたい。また仮にそれを知っていても、このコミックの主人公がスヌーピーだと思っている人もご遠慮願いたい。ましてやスヌーピーがカワイイなどと言う人は論外なので即刻退場を命じます。

 以上、閲覧条件を提示しました。何故ならばこれから私が述べようとする事は、このコミックの壮大なバックグラウンドの知識がなければ、到底理解出来ないと考えるからであります。(実際そんなことはありませんので、是非読んで下さい)

 さて、ライナス・ヴァン・ペルト(誰だかお分りですね?)は ハロウィーンが来ても、他の子供達のように変装をして家々を回り、お菓子をねだったりはしない。

 彼はその当日、即ち10月31日、一晩中カボチャ畑にいて、一睡もせずに唯ひたすらカボチャ大王(Great Pumpkun )が現れるの待ち続ける。

 彼によれば、大王はその年一番出来の良いカボチャ畑から現れ、子供達に玩具などのプレゼントを配るのだと言う。

 畑の出来の良し悪しは、作物の収穫高など全く関係なく、いかに偽善、欺瞞のない、誠実さの有無にかかっている。ライナスは近所の畑を巡って、今年はこの畑が一番だと確信した場所、そこに居を定める。

 そして彼はそのような大王に関する知識を、決して独り占めすることなく、それどころか友人をはじめ近隣の家々に、偉大な大王を迎えようとの啓蒙さえ行っている。

 しかし、成績優秀で深い洞察力があり、ある意味天才と言っても過言ではない彼が、何故かこの件については全く信用されない。

 また、その話を聞いた友人の一人が、プレゼント欲しさにカボチャ畑を急造。それを見せられた時、彼はただ一言「いままでこんな偽善的な畑を見たことは無い」と嘆いたりもしている。

 それはあたかも地動説を唱え、異端の烙印を押されたガリレオ・ガリレイの如く、常に周囲の無理解に晒されてしまう運命にある。

 それでも彼は、強い信念をもって毎年畑で夜を明かす。だが、天は味方せず、今まで一度も大王に出合った事は無い。

 心優しき彼の親友チャーリー・ブラウンが、見るに見かねて問い質したことがある。「何故、カボチャ大王がいると信じるんだい」

 ライナスは答える。「君が赤い服を着てホーホーホーというじいさんを信じないのなら、僕もカボチャ大王を信じないよ」

 コミック「ピーナッツ」には様々なアメリカ文化が登場する。それは1970年代、私に、そして恐らく日本人にとって初めて耳にする単語や風習であった。

 例えばジョギング、バレンタイン・カード、イースター・エッグ、ピザパイ、ルートビール、マシュマロを焼くetc.  そしてこのハロウィーン

 「Trick or Treat」今では幼児でさえ口にするその言葉を、当時知っている者は周囲に誰一人いなかった。

 そう思うと全く隔世の感がある。

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