続 クリスマスはディナーショー

今週のお題「クリスマス」に因んで。

 前回の「クリスマスはディナーショー」を読んだ知人から「後編を待っています」と連絡があった。私としては、この件は既に完結したものと考えていたが、そう言われてみれば確かに『求められているのは、会場の雰囲気や料理、そして歌や演奏など、要するにディナーショーとは如何なるものか』なのだという気がしてきた。

 しかし、通常のコンサートと同様、ショーの撮影や録音は当然禁じられており、かと言ってセトリやMC等を小まめに記録していたのでは、肝心なショー自体を楽しめなくなってしまう。

 という事で、本来これを書く心算は無かったのだが、親愛なる読者諸氏の要望に応えるべく(?)、公開が許される範囲内の情報を、可能な限りここに開示する事とした。

 

 さて12月24日17時20分、サラ・オレインのクリスマス ディナーショーが行われる第一ホテル東京に到着。   

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 ここはかって新橋第一ホテルといい、高級ホテルとして昭和13年に竣工したが、その後老朽化が進み、ビジネスホテルに毛が生えた程度感が否めなかった。現在の建物は1993年に5つ星ホテルとしてリニューアルオープンしたものである。

 会場は五階にあるボールルーム「ラ・ローズ」。一応、事前にホテルのホームページで内部を確認

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 「えっ、呉越同舟の相席か。何やら結婚披露宴会場のよう」とは言え既にチケットを購入済なので行くしかない。

 案内では17時30分開場となっていたが、10分遅れで中に入る。                  f:id:kaze_no_katami:20191225045659j:plain                      f:id:kaze_no_katami:20191225045802j:plain

 実際はもっと沢山の花が届いていると思う。もしこれが全てであれば私も送っておけば良かったと後悔。

 自分の席につく。やはりこれはどう見ても結婚披露宴会場だろう。    

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 席からの眺めはこのような感じ、まあまあステージは近い。         

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 ディナーは18時から。     

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オードブルは、海老と蟹のタルタルのテリーヌ サーモンのミキュイ スパイス香るクリーム オレンジのヴィネグレット

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真鯛と帆立ボアレ アワビの蒸し焼き  ブルゴーニュ風ガーリックハーブバターソース

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牛フィレ肉のアーモンドパネロースト 炒めオニオンのキャラメリゼ風味 濃縮されたフォンドボーのエッセンスと共に 写真を撮る前に肉に手をつけてしまった。

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カーディナルシュニッテンと木苺のガナッシュ

 上記の他にアルコール類のドリンク、コーヒー、パンが付く。元より期待はしていないものの、期待通り可もなく不可も無い味。料理が目当ての同伴者は不機嫌そうに「この間行ったロブションの方が美味しい」と言う。そりゃあ正真正銘の三ッ星レストランと比較するのは酷だ。

 そしていよいよ19時からショーが始まった。先ずステージのサラ・バンド(Dr. B. pf. gt. vn. の五人編成)が演奏を開始すると、サラ・オレインはキラキラ輝く白いドレス姿で、会場後方から「ホワイト・クリスマス」を歌いながら登場、客席を回り要望に応じて握手などをする。

 やがて彼女がすぐ側に来た。しかし少なくとも相手はミュージシャンなので、私は間違っても商売道具の手を不用意に握ったりはしない。手のひらを向けると軽くタッチしてくれた。それを見た同伴者は「割とミーハーね」だと。勿論、こちとら鈴木康博のライブでは、見に来ていた元オフコースのベーシスト清水仁と握手だってしているのだ。

 そして彼女はステージに上がり、季節感のあるこの曲を歌った。 


サラ・オレイン - 「ウィンターワンダーランド」(映画『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』主題歌)フル・ヴァージョン

 その他、クリスマスソングの定番、ワム!の「ラストクリスマス」と山下達郎の「クリスマスイブ」のメドレーやバイオリン演奏、変わったところでは「越冬つばめ」を披露。ジャズ風からハードロック風までバライティーに富んだ編曲。同伴者は「何がやりたいのかわからん」との事。

 バックバンドの編成は一般的感覚からすれば、バイオリンの代わりに音の厚みが増すキーボードではないかと思う。だが、このバンドのバイオリンはワウワウペダルを使ったりして面白い音作りを聞かせてくれた。

 そうこうしている内に時間は過ぎ、彼女はハープの弾き語りも披露したりして取敢えずショーは終了。お約束のアンコールではサンタ風の赤い服に着替えて「きよしこの夜」。そしてラグビーワールドカップのテーマソング「World In Union」を熱唱し、午後9時、この日の全てのプログラムは終了した。


World In Union

 ディナーショーという形式のせいか、観客の平均年齢は総じて高いように思えた。もし美味しい料理だけを望むのならレストラン、音楽を追求したいのであればコンサートホールに行くべきだろうと思料する。

 ただサラ・オレインが今後益々メジャーになれば、このようにアットホームな雰囲気で見聞きする事も困難になるだろう。料金は決して安いとは言えないにせよ、一度位は経験するのも悪くはないかも知れない。

 ところですっかりご機嫌ナナメの同伴者には、抜かりなくサプライズ・プレゼントを用意して難なきを得た。サラ・オレインのお陰で、今年のクリスマスは大散財である。

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