今夜は中華、食べチャイナ!

 その昔「中国三千年の歴史」と言われていた。勃興しては衰亡する数多の国の中から、政権を握った順に「イン、シュウ、シュンジュウ、センゴクジダイ・・・」と暗記した。

 ところがある日突然「夏(か)」という王朝の存在が判明したと言い出し、いきなり四千年になった。更に最近テレビのCMで「中国五千年」というキャッチコピーが流れた。

            f:id:kaze_no_katami:20200214065558j:plain 

 あの国は一体どうなっているのだろうか。いくら何でも千年は鯖の味噌煮、ではなくて鯖の読み過ぎではないのか。

 解り辛いのは歴史だけでは無い。食についても同様である。「四本足のものは机と椅子以外、二本足のものは家族以外、飛ぶものは飛行機以外、水中のものは潜水艦以外、何でも食べる」。これは中国の食習慣を例える言葉としてよく耳にするが、訳の分からない怪しげな物を食べるせいで、今般のCAVID-19のようなおかしな病原菌が発生するのではないか、と勘繰りたくもなる。(それにしても「二本足は家族以外」という部分、よく考えたらかなり怖い)

 しかしである。今、我々が何の違和感の無く食べている中華料理は、そんな彼等、中国人の飽くなき食への執念と、命を賭した英雄的行動が生んだ賜物と言えるのではないか。常識的に考えて、誰が断崖絶壁にあるツバメの巣を食べようなどと思いつくだろうか。

 そのような悪戦苦闘、試行錯誤の末、漸く手に入れたであろう食材を、更に絶妙な調理方法で味を付ける。人気の高い「北京ダック」や「フカヒレ姿煮」も、前者はカリカリに焼いたアヒルから削いだ皮、後者は鮫のヒレを茹でて、干して、乾燥させ、再び煮て戻す。全くもって「手の込んだ」というよりも、通常の発想からはかなり逸脱した料理だ。しかし、そのお陰で独特の食感と美味が誕生するのである。

 さて、こうやって食べ物の事を想像し始めると、次第に居ても立っても居られなくなる。今、街中に蔓延しているかも知れない新型コロナウイルスは気になるが、それでも食欲には抗えず、さして効果が期待出来ないマスクだけを頼りに、私は勇躍目的地へ向かった。

 JRと東京メトロを乗り継ぎ夕刻店に到着。女子会と呼ぶのは少し憚られるお年頃の淑女が五名、既に入口で開店を待っていた。彼女達のような人種は「如何にリーズナブルな食事をするか」について常にアンテナを張り巡らしており、その情報量は決して侮る事は出来ない。という事はこの店はお眼鏡に叶ったのだろう。と、いやが上にも期待が膨らむ。

 果たして、案内された個室はやけに狭い。

           f:id:kaze_no_katami:20200216055624j:plain

 これでは閉所恐怖症の人には辛いに違いない。 と余計な心配をしながら席につき、改めて予約したメニューを確認する。   f:id:kaze_no_katami:20200216060145j:plain

  通常、福沢諭吉が旅立つところ、その6割で同等の食事が出来るお得なコースだと言う。そして宴が始まった。

      f:id:kaze_no_katami:20200216060743j:plain

      f:id:kaze_no_katami:20200216060807j:plain

      f:id:kaze_no_katami:20200216060849j:plain

  ここで大きな勘違いをしていた事に気づいた。てっきり「フカヒレの姿煮」と思っていた料理は「フカヒレの煮込み」だったのだ。

      f:id:kaze_no_katami:20200216060913j:plain

      f:id:kaze_no_katami:20200216060933j:plain

      f:id:kaze_no_katami:20200216061004j:plain

 各品、決して不味くはないが、取り立てて美味しくもない。仕方なく別料金で「北京ダック」をオーダー。

      f:id:kaze_no_katami:20200216061035j:plain

  麺は二種類から選択。

      f:id:kaze_no_katami:20200216061100j:plain

      f:id:kaze_no_katami:20200216061121j:plain

      f:id:kaze_no_katami:20200216061140j:plain

 以上で晩餐は終了。残念ながら久々にスカを引いた心境である。従って当初、店名等を大々的に記載しようと考えていたが、今回は見送る。

 この恨み、次回必ず晴らさで置くべきか。