ヘッドフォン三昧

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 自分で言うのも何だが、音に関して私はちょっとウルサイ。例えばスタインウェイベーゼンドルファーの違いくらいは、側板に書かれた社名のロゴさえ見れば瞬時に判断出来る程である・・・。

 ところで私達が日頃耳にする音楽の殆どはスタジオで録音、ミキシング、マスタリング等の処理を施した上で、CDやダウンロード用mp3として商品化されたものだ。また最近は敢えてアナログ・レコードにする場合もあるように聞く。

 読者諸氏は普段どのうような環境で音楽を聴かれているのだろうか。ウォーキング中「耳からうどん」状態の「ながら派」。はたまた家のステレオでじっくり「鑑賞派」。

 中には防音されたリスニングルーム、マーク・レビンソンのアンプ、JBLのスタジオモニターといった簡単には手に入らない、垂涎の所謂ハイエンド・オーディオ機器を揃える強者や、「音が暖かい」という理由で真空管アンプを愛用するマニアもいたりするかも知れない。

 確かに真空管トランジスタよりはるかに発熱するので「暖かい」かも知れないが、そこまで凝らなくても、これらの趣向は詰まる所「イイ音で聴きたい」が目的ではないかと思料される。

 かく言う私も以前ほんの少しオーディオに熱中した時期があり「やっぱり倍音が多いA級アンプは違うね」などと一人悦に入っていたが、それは殆ど自己満足に過ぎなかった。

 では、そもそも「イイ音」とは一体何なのか。これを説明するのは容易ではない。その事だけは判る。例えば S/N比 の数値が高いとか、音圧周波数が平坦で広いとか等々。ただ私が思うに、私達が「イイ音」と信じているのは、単に自分が好きな音ではないのか、という事である。

 本来は部屋の音響特性を補正する為にあるトーンコントロール等を弄り倒し、必要以上に低音や高音を増幅している人は多いと思う。

 先ずは原点に立ち返り、音楽制作者が意図した音を再生する事。それを可能にするには、制作現場であるスタジオと同様の環境を揃える必要があるのだ。

 と、言うのは簡単だ。だが一般家庭でそんな事は土台無理な相談である。そこで安上がりにプロがスタジオ等で使用しているアイテムを手に入れる事を考えた。そう、ヘッドフォンである。

  一口にヘッドフォンと言っても千差万別、音の傾向も驚くほど違う。私のヘッドフォン歴は長く、これまでに手にした製品は数知れない。現在でも7台ばかり所有しているが、元々レコードから楽器演奏のコピーをするのが目的だった為、とにかく音がクリアである事が必要条件であった。

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 従って音を楽しむというよりは、音を聞き分ける為の道具という感が強く、音量もかなり上げていたせいで長年続けた結果、若干難聴気味になってしまった。

 唯一、音楽鑑賞用に購入したと言えるのは、STAXというメーカーの製品で、これはヘッドフォン端子に差し込むのではなくスピーカー端子に繋ぐ。ヘッドフォン用アンプのショボい音ではなく、正真正銘、本来の実力を引き出そうという発想である。

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 確かにイイ音のような気もするが、実際のところよく解らない。尚、このモデルは発売から40年が経つ現在でも、ネット・オークションに於いて1万円程度で取引されているようである。

 さて、私がこれ迄のヘッドフォン人生で辿り着いた先。それは「赤帯」と呼ばれるSONYのモニター用定番モデルだアイキャッチ画像参照)。手頃な価格であまり音に癖が無く、軽いので気に入っている。

 プロ用のスタジオに常備され、音楽関係者にも愛用者が多いようなので、もしかしたらこれが制作現場の音なのかも知れない。と、思ったりもする。

 恐らく読者諸氏にもこれを使っている方は多いのではないだろうか。尚、2月22日は何故か「ヘッドホンの日」なのだそうである。

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