小学校4年の夏休み、楽しみと言えば学校のプールだった。事前に通知された予定表に従い、毎回欠かさず参加した。学校が休みの時は、バスに乗って今で言う「複合レジャー施設」のプールまで出掛けて行った。とにかく泳ぎたくて仕方がなかったのだ。
学校のプールには或る同級生の女の子も来ていた。彼女は学業優秀、スポーツ万能、ピアノと英会話を習っていて、お手本のような綺麗な字を書き、おまけにチャーミングだった。
私は勿論、彼女に好意を寄せていたが、その年頃にありがちな「好きな子にはわざと意地悪」ばかりして、彼女も負けずに嫌味な言葉ばかり私に浴びせた。
ある日、学校のプールで散々泳いだ後、未だ遊び足りない私が彼女にレジャー施設の話をしたところ、思いもかけず意気投合。これから一緒に行こうと二人で盛り上がった。
そこで、一応、プールの監督に来ていた担任教諭に許可を貰った方が良いか、と相談し、揃って申し出てみると、あろうことか却下されてしまった。今にして思えば、それは多分、担任に責任を負わせる事なく、黙って行けば良かっただけの話だろう。
しかし、そこが模範生(私も?)の悲しい性(サガ)か、我々は素直に諦める事にしたのだった。
お陰で私は、人生初のデートのチャンスを逃してしまい、そしてそれから先、チャンスが再び訪れる事は決して無かった。
花 名:恒春葛(コウシュンカズラ)
学 名:Tristellateia australasiae
英 名:Maiden's jealousy Bagnit Galphimia vine
開花期:8月~9月
花言葉:誠実な愛情 飾らない心
人生は「言わなければ良かった後悔」と「言えば良かった心残り」の繰り返し。