前回、偉そうに「蔓延防止云々が解除されようが外食は控える」などと公言したところ、どうしても都心に出張らなければならない用事が出来た。しかも昼前にはフリーになる予定。これはもう「千載一遇のこのチャンスを逃す手はない」、そう考えた。
『苦節✖ヶ月、遂に待ちに待った外食だ』
しかし「千載一隅」という言葉は、同時に「しくじれば取り返しがつかない機会」を意味する。そこで一番重要になるのは「店の選択」である事は言うまでもない。
ところで外食とは、当然、料理が美味しくなければ話にならないが、私の場合は併せてアルコール飲料の存在を無視する訳にはいかない。
だが、今回は真っ昼間である。勿論、世の中には昼間から酒を提供する店は五万とある。否、正確に言えばもっとある筈だ。それでも「ヒ・ル・ザ・ケ、昼酒」という甘美な響きには、一抹の「後ろめたさ」、或いは「罪の意識」を覚えさせる何かがある。
そう考えると、和食、特に鮨屋や蕎麦屋ならば、ハードルが低いような気になるのは私だけだろうか。尤もコロナ禍が収束していない現在、カウンター越しに注文等、言葉をやり取りする鮨屋はリスキー感が否めない。
であれば残る選択肢は唯一つ、そう「蕎麦屋」しかない。そして蕎麦と言えば以前このブログでも紹介したあの店に決まっている。
という事で3月25日午前11時半、私は凡そ半年振りに、勇躍「紅葉川」(モミジガワ)の暖簾を潜った。
先ずはお約束の生ビールから。
最初のツマミは「焼味噌」(左) と「鴨焼き」(右) 、どちらもこの店の定番。実に美味である。
続いては何故か人気メニュー「鴨せいろ」の汁 (ツユ) のみ。要はツユダクならぬツユダケ。蕎麦は最後に「辛みおろし」(ねずみ大根) で食べる心算なのだ。柚子の香りが漂う濃厚な汁には、鴨肉と鴨つくね、ネギ、三つ葉が入っており、ツマミとしても絶品。
ふと刺身を食べたくなり「鮪」と勘案した結果、「白いか」にした。
ここまでの間、ひたすら生ビールを飲み続けていたが ( 僅か5~6杯だ )、そろそろ腹も膨れてきたので珍しく日本酒の「利き酒」セットを。
このような感じで運ばれて来た。
左から「陸奥八仙」(青森):とにかく甘い。「加賀鳶」(石川):キレがある。「栗林」(秋田):サッパリとした後味。個人的には「加賀鳶」が良かった。
さて、ここで少々問題が起きた。肝心な蕎麦が入らないのである。考えてみたら、最近めっきり量を食べられなくなったものだ。その割に痩せないのは何故だろう。
そして午後2時、若干の心残りを感じながら私は店を後にした。
尚、私にがぞっこんの美人女将は残念ながら昼間は店に来ない。♪ 会えない時間が 愛育てるのさ ♪ という事もきっとあるに違いない・・・カモ。