徒歩(かち)にて参ろう

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 真冬並の冷雨も上がり、街に日差しが戻る。つい先日まで暖を取った覚えあるも、気温は早や20度越え。栄華を極めた桜花に代わり、若葉が青く萌え始めた。

 4月某日、初夏を思わせる陽気に誘われ、私はまたカメラ片手に散歩に出る。

 思い起こせば、すべてはここから始まった。

 そこにも書いてある通り、いい歳をして花の名前も碌に知らないという事はとても恥ずかしいと思い、取り敢えず自分で花の写真を撮り、その名を覚えてみようと始めたのだ。

 それから二年。カメラを新調、レンズも増やし、そうやって少しでも良い写真と花の知識を得るべく努めてきた心算だが、なかなか思うようにはいかない。

 【閑話休題

 そして、いつものように車を止め公園に入ると、池の畔では既にバズーカ砲部隊が配置につき、いつ来るとも知れぬ野鳥を待っている。

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 とても彼等の仲間にはなれない素人の私は、邪魔をしないよう遠回りして行く。この先には秋になると美しく紅葉するイロハモミジがある。そして春にはモミジに赤い花が咲く事を知ったのも、この二年間で得たささやかな収穫の一つだ。

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 更に進むと、だらだら坂の左手に鮮やかな黄色のヤマブキが見えてくる。昨年の今頃は満開になっていたが、今年は未だ蕾が目立つ。思わず太田道灌の説話が脳裏に蘇る。

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 坂を上り詰めた所にあるベンチで一休み。鳥が鳴く方に目をやると、桜の枝にヒヨドリが。内心、メジロだったら綺麗で良かったのにと思う。

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 ベンチに腰を掛け持参した缶コーヒーを飲みながら、ふと、そう言えば少し前、山田ひかる(id:myuhikaru)さんのブログに、ユキヤナギの写真があった事を思い出した。あの花なら近くで咲いている筈。

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 そのすぐ傍にはニワザクラの花も開き始めている。

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 この散歩を始めて変わった事がひとつある。今まで以上に足元に注意を払うようになったのだ。そこには目にした事の無い、名も知らぬ花がひっそりと咲いている事が多い。早速iPhoneを取り出し、今や私のベストアプリとなったGoogleレンズでチェックする。これはニリンソウと言うらしい。

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 このようにして、少なくとも週に1度は散歩に出掛けている。道順はいつも同じだ。しかし、季節と共に景色も変わる。物言わぬ花から時の流れを知る。

 前週、バズーカ砲部隊がたむろしていた池の畔で、なかなか会えないカワセミに遭遇した。安価な300mmの望遠では、画質に贅沢は言えない。しかし偶にこんなラッキーと巡り合えるから、止められないのである。

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(尚、写真の拡大はクリックで)

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