クリスマスの奇跡

 第二次世界大戦終結から3年が経過した1948年、世界は既にアメリカを中心とする「資本主義、自由主義陣営」とソ連が盟主である「共産主義社会主義陣営」との対立、いわゆる冷戦時代に突入していた。

 同じ年の12月24日、アメリカ空軍は北に向けた早期警戒レーダー網が高度4,300mを飛ぶ正体不明の物体を捕えたと公表。

 動力はトナカイ8頭、物体は「そり」だという。

 これがアメリカ軍のサンタ・クロース追跡について最初の公式発表となった。(尚、「そり」はトナカイ9頭立てとする文献もあるが、有名な赤鼻の「ルドルフ」は先導役なので「そり」は曳いていない)

 その後この追跡はCONDA(大陸防空司令部)からNORDA(北米航空宇宙防衛司令部)に引き継がれ現在に至り、毎年12月24日、クリスマス・イブの夕刻から1時間おきにビデオページが更新される。

 因みに昨年、日本の富士山と東京上空を飛ぶサンタのビデオは以下の通り。

 しかしである。いかにサンタの「そり」が瞬間移動し、各戸の煙突から侵入、子供達が用意したビスケットと牛乳を完食し、吊るされた靴下にプレゼントを入れる、という一連のルーティーンを仮に1秒間で済ませたとしても、全世界を回り終えるには数年かかるのではないか。

 否、そのような邪推をするのは間違いだ。「クリスマスの奇跡」という言葉はその為にあるのだから。