ONE TEAM

 ラグビーワールドカップ2019は、明日10月19日からいよいよ決勝トーナメントが始まる。ここ迄、まるで日本全体が、ひとつのチームになったかのような本大会であるが、その立役者は何と言っても、開幕以来、怒涛の快進撃を続ける我らがブレイブブロッサムズである事は言うまでもない。

 実際のところ、この大会は始まる寸前まで、やや盛り上がりに欠け、「果たして上手くいくのだろうか」という危惧さえ囁かれていた。だが蓋を開けてみれば、それは案ずるは生むより易し、全くの取り越し苦労だった事が判明したのだ。

 先ず特筆すべきは、日本戦以外の試合にも多くの観客が集まり、声援を送ると共に、何より開催地住民の参加各国への対応が素晴らしい事である。これ程この日本がグローバルだったのかと、只々感嘆するばかりだ。

 例えばそれを象徴するのが、名前さえ殆ど知られていないナミビアの国歌を、選手と共に、声の限り歌うマスコットキッズの少年であった。

 プロのミュージシャンでさえも、生国「日本」の国歌をまともに歌えない姿を、つい先日、マラソンの代表選考会MGCの中継で見たばかりである。

 それをいくらナミビア公用語が、一般的な英語とは言え、歌詞と旋律を覚えた少年の努力は、並み大抵な物ではないだろう。

  また、そのようなホストの姿勢に応えるかのように、カナダ代表チームは、台風19号で試合が中止となり、B組最下位という不名誉な結果となったにも拘らず、開催地である釜石に留まり、街に溢れた泥の清掃を行い、世界各国から多くの称賛が寄せられた。

 勿論、全てがいい事ばかりでは無く、熊本ではウエールズに敗れたウルグアイ代表が、酔って暴れたりする残念な出来事も起きたりはしているが、この大会で生まれた多くの素晴らしい物語は、末永く語り継がれる事であろう。

 さて、今回のタイトルONE TEAMとは、日本代表ブレイブブロッサムズが掲げた標語であり、これは立場を超え、同じ目標達成の為に、互いに理解し合い、心をひとつにする事を意味する。

 イデオロギーを持ち出す心算は毛頭無いが、伝えられた情報に依れば、日本代表に選ばれた選手達は、国籍を問わず先ず「君が代」の詞の意味から学ぶのだそうだ。

 それがテレビ中継で見る、全ての選手達の斉唱に繋がっているのである。ただ一人、韓国籍で参加している具智元は、誰よりも大きな声で歌っているとさえ言われている。今日日、主たる学校行事に於いて、国旗掲揚や国歌斉唱を拒否する一部教員達に聞かせてやりたい位である。

 9月20日に始まったラグビーワールドカップに、すっかり心を奪われたようなこの一ヶ月であったが、その間、思いもかけない大きな颱風に見舞われ、時間の経過と共に次々と判明する被害状況に、我々は暗澹たる気持ちに陥り、思わず言葉を失なってしまう。

 一日も早く日常を取り戻して欲しいと願うばかりであるが、この未曾有の災害に対しも、同じようにONE TEAMの精神をもって協力し合えたらいいと思う今日この頃だ。「頑張れ!日本」

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