舐めたらいかんぜよ

 前回、「ノーテンパー」について書いたところ、そんな言葉は聞いた事が無いという方がおり、年代の違いか地域性の問題か、何れにせよ題材としてあまり普遍性が無かったのだと反省した。

 そこで次は何を書いたらいいのか考えてみたが、また同じ過ちを繰り返すのではないかと不安になるばかりで、一向にアイデアが浮かばない。

 しかし、いくらネタが思いつかないと言っても、何を書いてもいい訳では無い。少なくとも書いていい事と悪い事ぐらいはある。そんな事は百も承知。美辞麗句とまでは言わないが、最低限、品位、品格位は保っていたい。

 この品格という物は、普段の会話の場でも非常に重要な事であり、ついつい氾濫するSNS用語などを安易に使用しては、かえってキモイとか言われる可能性があるので、注意したいものである。

 さて、上述とはあまり関連性は無いが、かって私が経験した環境に於いては、今で言うところのセクハラ、パワハラは何の疑いも無く存在しており、流石に目を覆いたくなるような事も平然と行われていた。

 勿論それらは許される事ではない。その中で私が閉口したのは所謂猥談。これを事あるごとに喋りまくる手合が至る所に存在し、全く始末に負えないのである。どのような話か具体例を挙げたいが、憚れる内容なので想像にお任せするしか無い。

 それについてある時、一つの見解に似た話をする者がいた。曰く、

 勤め人同志、気心の知れた内輪で飲んでいる分にはいいが、客先やまた偶然飲み屋で知り合った見も知らない他人と会話する事がある。その際、話題として避けるべきは、先ず政治。そして宗教、更に贔屓のプロ野球球団。この3件は罷り間違えば取り返しのつかない修羅場を迎える可能性がある。結局、喧嘩にならない話題は下ネタという事に落ち着くのだ。

 しかし、と私は思った。いい歳をした紳士が話す事ではないだろう。それではまるで農協の団体さんと同じではないか。(済みません、JAを敵に回す心算は毛頭ありません)

 議論を重ねた結果、漸く妥協点を見出した。食べ物の話題がそれに変わることが出来るという結論である。それも、某タイヤメーカが格付けする世界各地の高級料理店ばかり話されたら辟易とするが、所謂B級グルメの店の紹介合戦なら誰でも参加出来るし、第一罪が無い。

 これをもって暫く安心していたところ或る時、私は久々に下ネタを聞き、その卓越した着眼点に目を見張った。

「舐めたらあかんぜよ、と言うのは嘘。本当は、舐めたらイクぜよ」

                                失礼しました。

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