寿司(鮨)

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 今週のお題は「寿司」との事。私の場合、どうもこの「寿司」という文字に馴染めず、「鮨」の方がしっくり来るので以下はこちらを使う事とする。

 さて、今更ながら「鮨」が嫌いという人は老若男女を問わず少ないのではないかと思う。それと言うのも、個々の食材に嗜好が入る余地はあっても、「鮨」は「ラーメン」「カレー」「焼肉」等の外来種と並んで「日本人が一番好きな食べ物ランキング」の上位に必ずランクイン、他の食べ物に比べ明らかに高額であるとのハンディを背負いながらも、我らがソウルフードとして和食の一角を堅持しているからである。

  ところで、私にとって鮨は昔ながらの回らない鮨屋で食べる物という固定観念がある。それは鮨屋が扱うネタ(魚介類)の質が、そこいらのスーパー等の追従を一切許さず、極めて高いからに他ならならず、また回転寿司については単に行った事がないからなのだ。

 更に鮨屋のカウンター席は、お一人様にとってこの上無い居心地良好な場所でもある。誰に気兼ねする事もなく、好きな物を好きなように、加えてカウンター内の大将なり板前がバーテンダーの如く話し相手にもなってくれる。

 このように至れり尽くせりの鮨屋であるが、以前は問題も多々あった事は否めない。例えばこちらがイイ気分で飲食している時、隣で喫煙が始まる。おまけに吸いかけの煙草を灰皿に置き忘れたまま、暫くするとまた新しい煙草に火をつける行為が散見される事もしばしばあった。

 今でこそ全面禁煙が当たり前になったものの、考えてみるとトンデモナイ時代が長く続いたものだとつくづく思う。

 それでも時折、初めてカウンターデビューするような若いカップルが来店し、まごついているのを見るのは、何とも初々しくて微笑ましい。二人の将来に幸多かれと祈りたい気分になる。

 それとは反対に、許せないのは如何にも小生意気でチャラそうな男が、飛び切りの別嬪さんを連れて来た時である。

 こういう男に限って、さも場慣れした「通」であるかのように、業界用語を使うのである。ここで言う業界用語、確かに鮨屋では独特の言い方があるのも事実だ。例えば

 「しゃり=ご飯」

 「がり=しょうが」

 「ぎょく=卵焼き」

 「むらさき=醤油」

 「あがり=お茶」等々。

 しかしそれらの言葉の一部には、客には聞かれたくない内容を伝える為の隠語もあったりする。それを我々が敢て使う必要があるかと言えば、否であろう。

 チャラ男としては同伴の女性にモテたい一心で口にするのだろうが、こちらからすれば滑稽を通り過ぎ哀れにさえ見えてくる。

 そうこうしている内に、食事が終わり会計を済ませる時を迎える。一時期、締めは「ハマチ(how much)」を注文すべきとの詰まらない駄洒落があったが、信じられない事におあいそして」などとホザく御仁が、チャラ男のみならず、ある程度分別がついてもよさそうなオジサマ達も、当たり前のようにのたまうのである。

 勿論、これは何も鮨屋に限った事ではないが、多分、板前がレジ係に「はい、おあいそ」と言うから、同じ言葉を使って「通」ぶりたいのだろう。しかしこれは大きな誤りである。

 実はこの件については諸説ある。一つは、そもそも「おあいそ」は「愛想尽かし」であり、客がこれを使うと「この店に愛想が尽きたのでもう来ない」という意味になる、である。

 他には、それまでにこやかに飲食していたにも拘らず、勘定書きを見た途端不機嫌にならないよう、店が客に対して「愛想笑い」をお願いしているのだ、という説もある。この場合、客は大枚をはたいた挙句、自分の方から店に笑顔を要求している形になってしまう、というのである。

 何れにしても、知ったかぶりの結果、恥ずかしい思いをする事になるので気をつけて貰いたいものだ。

 では何と言えばいいのか。答えは簡単「勘定」で全く問題はない。

 まあ業界用語等を覚える暇があったら、正しい箸の持ち方でも練習した方が余程格好イイのではなかろうか、と思料するが如何だろう。因みにかく言う私は鮨は手で摘まんで食べる事が多い。

 以上、何だかんだ文句ばかり並べ立ててしまった。要は早く以前のように鮨を食べに行きたいだけなのかも知れない。

 何となく画面が寂しいので昨年1度だけ行った鮨屋の写真を貼ってみる事にした

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前もって予約しておいた呼子イカ

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イカは身よりもゲソやミミが美味しかったりする

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誰が考えたのかカワハギを肝醤油で

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その手は桑名の焼き蛤

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鮪のヅケ、柚子胡椒のせ

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ネギトロ巻き

  ご馳走さまでした!

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