毎週土曜はワインの日(3)

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 先日、スーパーへ行くと雛祭りが近いせいか、入口付近に「ひなあられ」等、関連商品が箱積みになっていた。見るとはなしに眺めれば、缶入りの「甘酒」と並んで、久しく目にしなかった「不二家ネクター」の缶もある。

 『なるほど「桃の節句」だからな』そう納得した私の灰色の脳細胞に、またしても迷案が閃いた。

   『ベリーニ』

 ご存じない方もおられると思う。『ベリーニ』はカクテルの名前である。

 本来であればピューレした白桃にシャンパンと甘味シロップを注ぐようだが、これをピーチネクターで試してみようという、いつものオチャラケ手抜き発想だ。

 ところで、以前にもここに書いたが、私はコロナ禍になって以降、毎週土曜日を勝手に「ワインの日」と定め、自宅でささやかなディナーを楽しんでいる。

 そこで今回はいつもの白ワインの代わりに、ワインベースのカクテルが登場する訳だ。だが如何せんネクターなんかを使った「なんちゃってベリーニ」なので、シャンパンなど勿体無くて使えないのは言うまでもない。従って、購入したのは下の安価なスパークリングワイン。

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 そう言えば「ベリーニ」について、私には思い出がある。かって元赤坂にあり、かの三島由紀夫の舌を唸らせたというフレンチレストラン「カナユニ」だ。

 現在は二代目が南青山にてコロナ禍にめげず営業中との事だが、そもそも私が初めてベリーニを知ったのはこの店で、一口飲んだ瞬間、この上品で口当たりの良い綺麗な薄ピンク色のカクテルに心を奪われ、すっかり虜になってしまったのである。

 今の時期は恐らく、期間限定で桃を旬のイチゴに代えた、オリジナル・ストロベリー・ベリーニを味わえるのではないかと思う。尤も、このような自由な発想が、かなりユニークな「カナユニ」という屋号の所以かも知れない。このご時世、すっかりご無沙汰しており、早く行きたいものである。(下の写真はカナユニのイチゴのベリーニ)

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 <閑話休題

 そして遂に待ちに待った土曜の夜が来た。いつものように、もう何度見たか判らない「フーテンの寅さん」を眺めながら、早速「マイ・ベリーニ」を作る。と言ってもネクターと泡を混ぜるだけ。しかもカクテルグラスが無いので、その辺にあったウイスキーグラスを持って来た。

 そして、一口。 「甘い、甘過ぎるっ」

 期待は見事に外れ、夢は儚く砕け散った。結局この日は我慢して一杯飲んだだけ。それでも、せめて写真くらいはオサレに撮ってみたい。 

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