読者諸氏の中には「とんぼ」を捕まえてやろうと、あの大きな眼に向かって指をクルクルと回した事がある人はいるだろうか。
子供の頃、誰に教わったのか覚えていないが、私や私の友達は「とんぼ」見つけると、こぞって人差し指をクルクルやったものだ。
『そうする事で「とんぼ」が眼を回しフラフラしているところを捕える』間違えなく筋書きはこうだった筈だ。
しかし、今思い返してみても、そうやって「とんぼ」を捕まえた人も、また捕まった「とんぼ」も見た記憶がない。人生を左右する程の問題ではないものの、どうにも気になって仕方がない。
早速、玉石混交の情報が溢れるネットを検索してみると、あった。一番激しいのは、指を回していると「とんぼ」の頭がポロっと取れてしまう、というもので俄かには信じられない。他は概ね似たようなもので、
1.「とんぼ」が眼を回す事はない。
2.「とんぼ」の複眼は動きの速いものは捉えるが、指を回す程度はよく見えない。
3.従って指の動きに神経が集中する。
4.そこを後ろから手を回して掴めば捕獲し易い。
との事であるが、こちらも説得力があるとは言い難い。
尤も今更昆虫採集をする心算はなくカメラで捉えるのが精一杯。その結果が以下の写真である。(尚、写真はクリック乃至ピンチアウトで拡大する)
【オオシオカラトンボ】
【コシアキトンボ】
【ハグロトンボ】
【ナツアカネ】
【アキアカネ】
過日、歩いていると小さな子供を連れた若い父親らしき男性がいる。よくよく見たら何と枝の先にとまっている「とんぼ」に向かって指をクルクル回しているではないか。日本文化の伝統的狩猟法は絶えることなく連綿と続いていたのだ。
(「とんぼ」は幼虫(ヤゴ)の頃はボウフラを、成虫になってから蚊を食す人間にとって益虫なので大事にしましょう)