先だってさんと二日間に渡り、サイモンとガーファンクルがソロになって以降の曲をYouTubeで紹介し合うというコラボレーションを行った。
実はその際私は、以前から気になっていた事を思い出してしまった。それは所謂「パクリ」=「盗作」問題である。
何と私が崇拝してやまない稀代のソングライターであるところのポール・サイモンの作品をパクった輩がいるのだ。それも日本ではかなり著名な音楽関係者なのである。
先ず有名なところでは「いずみたく」という人がパクった作曲したらしい「夜明けのスキャット」なる歌がある。これがもろサイモンの「Sound of Silence」である事はもはや公然の秘密だ。とにかく聞いて頂きたい。
Simon and Garfunkel - The Sound of Silence (1966)
夜明けのスキャット 由紀さおり
あまりの類似性にただただ唖然とするしかない。これだけ似ていて知らなかったでは済まされないだろう。因みにこの曲が発表されたのは1969年、サイモンの方は1964年にはレコード化されている。それでも平然としていた「いずみタフたく」恐るべし。
さて今回、私が指摘したいのはこの件ではない。先ずはこの曲から。
Simon & Garfunkel - America (Audio)
これは1968年、S&Gが発表したアルバム「ブックエンド」に収録され、当初シングルカットはされなかったものの彼等の代表的な一曲である。
そこで問題なのは曲ではなく歌詞。先ずは原文から。
“Let us be lovers we’ll marry our fortunes together”
“I’ve got some real estate here in my bag”
So we bought a pack of cigarettes and Mrs. Wagner pies
And we walked off to look for America
“Kathy,” I said as we boarded a Greyhound in Pittsburgh
“Michigan seems like a dream to me now”
It took me four days to hitchhike from Saginaw
I’ve come to look for America
Laughing on the bus
Playing games with the faces
She said the man in the gabardine suit was a spy
I said “Be careful his bowtie is really a camera”
“Toss me a cigarette, I think there’s one in my raincoat”
“We smoked the last one an hour ago”
So I looked at the scenery, she read her magazine
And the moon rose over an open field
“Kathy, I’m lost,” I said, though I knew she was sleeping
I’m empty and aching and I don’t know why
Counting the cars on the New Jersey Turnpike
They’ve all come to look for America
All come to look for America
All come to look for America
続いて和訳
「恋人になろうよ 二人の財産をひとつにまとめよう
このバッグの中にはちょっとした不動産も入ってるんだ」
そして僕等はタバコ一箱とミセス・ワーグナーのパイを買って
アメリカを探しに出かけた
「ねえ キャッシー」ピッツバーグでグレイハウンドに乗る時僕は言った
「今じゃあミシガンなんて夢みたいだ
サギノーからヒッチハイクした時は4日もかかったんだよ」
僕等はアメリカを探しに来たんだ
バスの中で笑いながら乗客の顔を見てゲームをした
「ギャバジンのスーツの男はスパイだわ」と彼女が言った
僕はそれに答えた「気をつけろ 奴の蝶ネクタイは本当はカメラだよ」
「タバコをくれよ レインコートに一本残っていると思う」
「最後の一本は一時間も前に吸ったわよ」
そこで僕は外の景色を眺め彼女は雑誌を読んだ
広い草原に月が昇っていた
「キャッシー 迷っちゃったよ」彼女が眠っているのは知ってて僕は言った
「空しくて苦しくて 何故だか判らないけど」
ニュージャージー・ターンパイクを走る車の数を数えた
みんなアメリカを探しに来たんだ
みんなアメリカを探しに
さて、上記の歌詞を見ながらこの曲を聞いて頂きたい。
ひぐらし (Studio Live) / 太田裕美
如何だろう。思わず笑えて来てしまっているのではないかな。この歌を作詞したのはあの「松本隆」。これはもうウケ狙いとしか考えられないが、プロフェッショナルの流儀には反する行為だろう。
一応歌詞を書いておくので改めて確認願いたい。
<ひぐらし>
ねえ私たち恋するのって
鞄ひとつでバスに乗ったの
マクドナルドのハンバーガーと
煙草はイブをポケットに入れ
御殿場までが矢のように過ぎ
緑の匂い胸にしみるわ
昔はカゴで通ったなんて
雪の白富士まるで絵のよう
読んだ漫画をあなたはふせて
内緒の声で耳打ちばなし
スーツを着てるあいつを見ろよ
三億円に似てないかって
最後に吸った煙草を消して
空の銀紙くしゃくしゃにした
窓に頬寄せ景色見てると
時の流れをただようようね
ガラスに映るあなたの寝顔
私はふっとため息ついた
生きてる事が空しいなんて
指先みつめ考えてたの
日暮れる頃に京都に着くわ
それは涯ないひぐらしの旅
あなたと二人季節の中を
愛はどこまで流れてゆくの
以上が「ひぐらし盗作疑惑」だが、当時の太田裕美ちゃんの可愛らしさに免じて不問に付す事とする。しかし許せないのがこの歌だ。
AMERICA 浜田省吾 live
先ず歌詞を見てみよう。
ロスからサンフランシスコへ続くフリーウェイを
おれ達 ヒッチハイクした1984
あの娘はダンサー
ニューヨークで踊る日を夢見てた
おれは ただ東京から逃れたかった
We were lookin'for AMERICA
映画の中のアメリカン・ドリーム
今も AMERICA
あの娘の輝いてた瞳 想い出す
煙草も缶のビールも 寂しさという愛も
モーテルのきしむベッドの上で分け合った
窓に流れるヘッドライト
ラジオからロックン・ロール
“もっと強く抱いて”と震えてたあの娘
We were lookin'for AMERICA
映画の中のアメリカン・ドリーム
今も AMERICA
あの娘の輝いてた瞳 想い出す
ショーウィンドゥに映った黒い目をしたJ. BOY
帰る故郷を見失って……
We were lookin'for AMERICA
映画の中のアメリカン・ドリーム
今も AMERICA
あの娘の輝いていた瞳 想い出す
We were just lookin'for“AMERICA”
私はこの浜田省吾なる人物について全く何の情報も持ち合わせてはいない。従って彼が実際に彼女と大陸を横断しニューヨークへ向かったかどうかも知らない。だが、どう考えてもこの設定は実に胡散臭い。しかも「アメリカを探しに」というフレーズは一体どこからきたのだろうか。インスパイアとか言う耳障りのいい言葉で胡麻化す心算だろうか。
以上今回は、このところの引き籠りから多少イライラしたのか、誰かに当たり散らしたくてついこんな事を書いてしまった。全国のハマコー浜省ファンには申し訳無い限りである。
ところで今回のYouTube、もうこれしかないだろうと思われる「America」を弾いてみた。
America/風のかたみの日記