創作

青春浪漫 告別演奏會顛末記 10

4.「許せない!」クマはジェラシーの炎に身を焦がした (2) 投稿された「悲しい夢」に対する『夢判断』を、アグリーは次のように「DANDY」に書いていた。 天国の花園より夢見る少女へ・・・ 若い日々の一つの愛は、 あなたを今まで行ったことの無い所へ連れ…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 9

4.「許せない!」クマはジェラシーの炎に身を焦がした (1) フェアウェル・コンサートへの出演依頼に対するナッパの回答は、直接伝えられる事はなく、アガタが何処からかクスねてきた郵便受を、教室の壁に取り付け「DANDY」 投書箱と書いた中に入っていた。…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 8

3. 「私は怒っています」ナッパは電話の向こうで泣いた (3) 話が少し遠回りした。機関誌 「DANDY」 の編集が毎週木曜日の放課後に行われている事は既に述べた。そんなある日、現国のテストの答案が返って来た。教員チカン清水は教壇から1人ずつ名前を呼んで…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 7

3. 「 私は怒っています」ナッパは電話の向こうで泣いた (2) 『五行 ①中国古来の哲理にいう、天地の間に循環流行して停息しない木・火・土・金・水の五つの元気。万物組成の元素とする。』(広辞苑第六版より抜粋) 現国の教員、チカン清水は、中間、期末と…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 6

3.「私は怒っています」ナッパは電話の向こうで泣いた(1) メガネユキコは同い年ながら、分別のある言動や日頃の立ち振る舞い等から何処かしら年上のように見え、クマ達もごく普通に会話が出来る数少ない女子の同級生で、2年4組の学級委員でもあった。 彼…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 5

2.「僕達は週刊DANDYを発行します」編集部一同が宣言した (2) 一方コンサートの方は「2-4 フェアウェル・コンサート」と名をうって機関紙『DANDAY』の紙面を借りPRが始められた。尤もどちらも同じ仲間内での企なので、すべからく自画自賛の世界であった…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 4

2.「僕達は週刊DANDYを発行します」編集部一同が宣言した (1) 年が明けて1974年1月、その機能的外観から「軍艦島」と呼ばれた三菱端島炭鉱閉山のニュースが巷に流れていた。 それとは全く何の関係も無く、深沢全共闘、兼新聞委員のアガタの発案のもと週…

青春浪漫 告別演奏會顛末記3

1.「コンサートやらないか」アグリーが言い出した (3) アグリーのソロアルバム制作は手持ちのオリジナルがまだ数曲残っていたが、写真撮影など開始時に無用な時間を浪費し過ぎた為、結局4曲を録音して年の瀬を迎え時間切れとなり、取敢えず終了した。 残…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 2

1.「コンサートやらないか」アグリーが言い出した (2) レコーディングごっこであるからして、当然スタジオで録音するわけではない。その頃の彼等の小遣いでは学用品を除き、月々LPレコード1~2枚とギターの弦を買う位が精一杯で、レンタルスタジオを借…

青春浪漫 告別演奏會顛末記 1

1.「コンサートやらないか」アグリーが言い出した (1) 国道246号線、通称玉川通りは世田谷区駒沢を過ぎると多摩川に向かってだらだら坂が続く。その途中、深沢八丁目のバス停から駒沢通りへと抜ける桜並木の道沿いに東京都立深沢高校はあった。 創立か…

連載開始のお知らせ

改まって告知する程の事ではないが、以前から考えていた企画を実行しようと思う。実を言うと私には、この「風のかたみの日記」の他に別IDで2016年から始めた創作小説を掲載するブログがある。 だが全く何の予備知識も無いまま見様見真似で「はてなブロ…

わたしの部屋

久し振りに今週のお題について書いてみようと思ったが、既に締め切られたかも知れない。因みにそのお題とは「わたしの部屋」 かってオーディオ機器のCMソングで「♪この部屋は僕の荒野です このひと時が僕の旅です♪」という歌が流れた。歌っていたのは当時人…

SERENADE FOR STRINGS

いつの頃からかストリングスのアレンジに興味を持つようになり、専ら主旋律にぶつからない心地良い裏メロ作りに生き甲斐を感じながら、いつかは洒落た弦楽曲を自分でも作りたいと考えていた。 しかし考えるのは勝手だが現実はそれ程甘くはない。私の音楽の知…

帰るべき場所

都立高校が5月の大型連休が終わるまで休校と決まり、それに伴い小中学校でも同様の措置がとられる可能性が高い。感染者数は増加の一方で、政府の緊急事態宣言も取り沙汰される中、正に新型コロナウイルス禍はいよいよ長期戦の様相を呈して来た。 不要不急の…

遠い日の夏休み (2/2)

前回からの続き。 お目当てのあんみつ屋は玉川通り沿いの、凡そあんみつとは無縁の洒落たビルの二階にあった。この沿線は数年前に開通した首都高三号の高架が空を覆い、今は真夏の日差しを遮っている。店に入るとすぐ僕等は窓際の席に案内された。 「来年の…

遠い日の夏休み (1/2)

大林宣彦監督の作品に「青春デンデケデケデケ」という映画がある。エレキギターブームの火付け役、ベンチャーズに魅せられた高校生達を描いた物語だが、私は主人公が夏休みの終わりに同級生の女の子に誘われ、二人で海水浴に行くシーンが気に入っている。そ…

昔書いた童話

大学生だった頃、友人から「童話」を書いてくれと頼まれた。彼が所属する同人サークルの小冊子に載せる為だった。 私は童話には殆ど興味が無く、それ迄に読んだと言えば、せいぜいテグジュペリの「星の王子さま」位しか思い当たらなかった。しかもあの物語自…